手の少陽三焦経の流注・経穴などのまとめです。
三焦という臓器は存在しませんが、上・中・下をそれぞれまとめているといった意味であり
東洋医学において大切な概念の一つでもあります。
個人的には臓腑病症よりも経筋病症で使うことが多い経絡です。
※基本的に私や学生などの備忘録として利用するつもりで書いています。
画像(裏面が透けていたり)や病候が自己流の解釈となっている点、ご容赦ください。
目次
「経脈」の循行と病候
流注
手の少陽三焦経
手の薬指の端(関衝穴)に起こり、手背より前腕背側の中央を上って、肘を貫き肘後(天井穴)に出て上腕後外側を循り肩に上る。
肩井穴で足の少陽胆経と交わり、鎖骨上窩(缺盆穴)に入り、下って膻中穴で左右が交わったのち、散布して心包を絡い、横隔膜を下って三焦に属する。 その支なるものは、膻中穴から鎖骨上窩(缺盆穴)に出て、項を上って耳の後(翳風穴)に達し、 一つは耳の上(角孫穴)から額角に出て内眥から頬に行き、 別の支なるものは、翳風穴から耳中に入り耳前に出て、頬を経て外眼角のあたりに終わり、足の少陽胆経に連なる。 wikipedia
経穴一覧
取穴部位:薬指尺側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分
要穴:井金穴
知覚神経:尺骨神経浅枝
血管:第4背側中手動脈の枝
取穴部位:手背、第4中手指節関節の下、尺側
要穴:滎水穴
筋肉:第4背側骨間筋
運動神経:尺骨神経
知覚神経:尺骨神経浅枝
血管:第4背側中手動脈の枝
取穴部位:手背、第4中手指節関節の上、尺側
要穴:兪木穴
筋肉:第4背側骨間筋
運動神経:尺骨神経
知覚神経:尺骨神経浅枝
血管:第4背側中手動脈
取穴部位:手関節後面横紋のほぼ中央にあり、手根骨との間の陥凹部。
要穴:原穴
筋肉:伸筋支帯、総指伸筋腱、小指伸筋腱
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後前腕皮神経
血管:背側手根動脈網、後骨間動脈
取穴部位:陽池穴の上2寸、総指伸筋腱と小指伸筋腱の間
要穴:絡穴
筋肉:総指伸筋腱、小指伸筋腱
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後前腕皮神経
血管:後骨間動脈
取穴部位:陽池穴の上3寸、総指伸筋腱と小指伸筋腱の間
要穴:経火穴
筋肉:総指伸筋、小指伸筋
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後前腕皮神経
血管:後骨間動脈
取穴部位:支溝穴の尺側1寸で、小指伸筋と尺側手根伸筋の間
要穴:郄穴
筋肉:尺側手根伸筋、小指伸筋
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後前腕皮神経、内側前腕皮神経
血管:後骨間動脈
取穴部位:陽池穴の上4寸、総指伸筋と小指伸筋の間
禁鍼穴
筋肉:総指伸筋、小指伸筋
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後前腕皮神経
血管:後骨間動脈
取穴部位:陽池穴の上5寸、総指伸筋と小指伸筋の間
筋肉:総指伸筋、小指伸筋
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後前腕皮神経
血管:後骨間動脈
取穴部位:肘頭から肩髎穴に向かい上1寸、肘関節を屈曲して取る
要穴:合土穴
筋肉:上腕三頭筋腱
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後上腕皮神経
血管:肘関節動脈網
取穴部位:肘頭から肩髎穴に向かい上2寸
筋肉:上腕三頭筋
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後上腕皮神経
血管:中側副動脈
取穴部位:臑会穴と清冷淵穴の中央、上腕後面の中央、肘頭と肩峰の間
筋肉:上腕三頭筋
運動神経:橈骨神経
知覚神経:後上腕皮神経
血管:中側副動脈
取穴部位:肩髎穴から肘頭に向かい下3寸
筋肉:三角筋、上腕三頭筋
運動神経:腋窩神経、橈骨神経
知覚神経:外側上腕皮神経
血管:上腕深動脈
取穴部位:肩峰外端の後下際、上肢を水平にあげ、肩関節部の前後に現われる後ろの凹みに取る。
筋肉:三角筋
運動神経:腋窩神経
知覚神経:鎖骨上神経
血管:後上腕回旋動脈
取穴部位:肩甲骨上角の外上方で、肩井穴と曲垣穴の中間
筋肉:僧帽筋
運動神経:副神経、頚神経叢筋枝
知覚神経:鎖骨上神経
血管:頚横動脈、肩甲上動脈
取穴部位:乳様突起の後下方で、胸鎖乳突筋の後縁
禁灸穴
筋肉:胸鎖乳突筋、頭板状筋
運動神経:副神経、頚神経叢筋枝、脊髄神経後枝
知覚神経:小後頭神経
血管:浅頚動脈
取穴部位:耳垂の後方で、乳様突起と下顎枝の間、陥凹部
筋肉:顎二腹筋後腹
運動神経:顔面神経
知覚神経:大耳介神経
血管:後耳介動脈
取穴部位:角孫穴と翳風穴の間を3等分し、下から1/3のところ。乳様突起の前、陥凹部
筋肉:後耳介筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:大耳介神経
血管:後耳介動脈
取穴部位:角孫穴と瘈脈穴の中間、陥凹部、角孫穴から瘈脈穴に向かい下1/3
禁鍼穴
知覚神経:大耳介神経
血管:後耳介動脈
取穴部位:耳を前に折り、その上角に当たるところで耳上髪際
禁鍼穴
筋肉:上耳介筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈
取穴部位:耳珠の前上方で珠上結節の前、陥凹部、浅側頭動脈拍動部
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈
取穴部位:頬骨弓後端の上際で、浅側頭動脈拍動部
筋肉:前耳介筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:耳介側頭神経
血管:浅側頭動脈
取穴部位:眉弓外端の陥凹部
禁灸穴
筋肉:眼輪筋
運動神経:顔面神経
知覚神経:頬骨神経(上顎神経の枝)
血管:浅側頭動脈
「経脈」の病候
耳鳴り・難聴が起こり、ノドが腫れたり、痛む。
汗が出る(自汗)、目の鋭眦が痛む、頬が痛んだり、顔面神経痛のような症状が起こる。
耳の後ろ、肩〜肘にかけての上肢外側が痛み、手の薬指が麻痺したような感覚になる。
「絡脈」の循行と病候
絡脈の循行
外関の上二寸のところから別れ出て、手の厥陰心包経と連絡する。
別に分かれたものは、前腕外側を経由しながら胸中に注ぎ、心主に合流する。
絡脈の病候
実すると肘が痙攣・拘急する。虚する時は肘の曲げ伸ばしが出来なくなる。
「経別」の循行
本経脈の頭部から話kれて、下降して缼盆に入り、さらに下降して上・中・下の三焦に走り、胸中に散ずる。
「経筋」の循行と病候
経筋の循行
手の薬指に起こり、腕(の背面)に結し、臂に循って上り、肘に結し、上って臑の外廉をめぐって肩に上り、頚を経由し、手の太陽に合流する。
その分かれるものは、頬に連絡し、中に入り舌本に繋がる。
別に分かれるものは頬の上部に上行し、耳前に循って、目の外眦に属し、上って頷に乗じて角に結す。
経筋の病候
循行部位がつっぱったり、拘急・痙攣が起こり、舌が巻きついて上手く喋れないような感覚になる。
「皮部」の循行
本経脈と絡脈の循行にしたがって
手の薬指・小指の背面、手背部〜上肢背面(中間部)、肩甲骨周囲、頚の外後方、耳の後ろと耳の上・前などの部位に分布している。