夏の時期でみんなが暑いと言っているのに、自分だけ手足が冷たかったり
エアコンを周りの人たちに合わせると寒くて耐えられない。
寒くてよくお腹を下したり、カラダが緊張しているせいか頭痛や肩こりが常にする。
そんなお悩みをお持ちかもしれません。
冷えは東洋医学では基本的に「陰」(東洋医学の考え方のベースに「陰と陽」というものがあります)という枠のもので
- 反対の性質を持つ「陽」が少なくなる = 陽虚
- 「陰」が増えすぎてしまう = 陰実
などによって「冷え」という症状が起こります。
いつも冷えを感じていて、夏でも寒く感じる。 という方はこのどちらかのパターンのことが多いですが
このパターンになる原因を知り、対処法を実践することで冷え性を解消・予防していくことが可能です。
※東洋医学的な説明の都合上、ちょっと前置きが長くなるので「早く解決方法教えろ」と言う方は ここまで 飛んで読んでみてくださいね。
普段からエアコンの風が直接当たるところに居ない、厚着をする。
などの対処はもちろんですが、体質から改善させていくことで、冷えが原因の病気などの予防も可能になります。
当院 でも治療で使っているツボなどを交えて
東洋医学を知らない方でもなるべくわかりやすく
冷え性の予防と改善方法について解説していきたいと思います。
目次
-
1. 冷え性とは
-
2. 冷え性を撃退する方法
-
3. 陽を補い冷え性を解消&予防する方法
-
4. まとめ
冷え性とは
冷え性のメカニズム
※本記事では「冷え性(または冷え症)」の表記は「冷え性」とします。
カラダが温まらずに常に冷えた感じがする。という症状が冷え性の特徴で、手足などの末梢部分に出やすいです。
冷え性は医学的にはちゃんとした定義がなく、不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれるものになります。
つまり病気とは言えない。ということなので、当然ながら治療法というものも確立されていません。
体温の調整などは無意識に行われていて
暑いときに汗をかいたり、寒い時には震えて熱を生み出そうとする働きが人体にはあります。
この体温調節などに大きく関係するのが 「自律神経」 というもので
興奮・緊張状態とリラックス状態のバランスを取っています。
寒い時などは緊張状態のことが多く、冷え性も、(筋肉もかたくなるので)肩こりなどの症状も起こりやすくなると言えます
自律神経が働くことで血流もコントロールしているわけですが
血流が悪くなることで「冷えを感じる」 ということが起きます。
ホルモンバランスなどの影響で自律神経のバランスが乱れると、冷え性が起こると言われています。
冷えは万病のもと
冷え性自体は、直接命に関わる!ってことはあまりないのですが
昔から「冷えは万病のもと」なんて風に言われるように、 決して軽視できる症状ではないよね。というのが東洋医学サイドの考え方です。
というのも、冷え性の方の多くは、便秘・下痢・肩こり・頭痛・腰痛などなどの症状を一緒に起こしていることが多いです。
冷え性が続いているということは血流が悪い状態が続いている。
ということになるので、 手足が冷たい。だったのが気づかぬうちに全身にも影響を与える可能性が高くなります。
冷え性を放置していたことでもっとヒドイ状態になることもある ということです。
東洋医学的な捉えかた
冒頭のあたりで述べたように東洋医学には「陰と陽」という概念があり、 それのバランスを保つことが健康には欠かせません。
冷えというのは陰陽で言うところの「陰」になります。
プラス(陽)とマイナス(陰)くらいのイメージでオッケー
夏の時期の日常生活の範囲で、陰陽のバランスが取れているのならば冷え性のような症状はあまり起こりませんが
「陰」の方にバランスが偏りすぎてしまうと、手足だけでなくカラダ全体的に冷えや寒さを感じる という症状が起きてきます。
陰に偏ってしまうのには大きく2パターンあり、陰そのものが多い(陰実)のと、陽が少なくなる(陽虚)パターンが存在します。
どちらにせよ、陰陽のバランスを取っていくことによって夏でも寒い・・・と感じるような冷え性も解消されていくことが可能です。
冷え性を撃退する方法
陰陽のバランスを取る
既に冷え性で悩まれているような方は、何度も言うように「陰」に偏っている場合が多いです。
なのでバランスを取るためには「陽を増やすか、陰を減らしていく」必要があるよ。ということをイメージしていきましょう。
また、逆のこと、陽を減らす・陰を増やす行動はなるべく取らないようにしていく必要もあります。
東洋医学的な考え方はややこしいけど、覚えておくと体質改善が早まるよー
陽を補い冷え性を解消&予防する方法
前置きがながーくなりました。
冷え性を解消するためには、「陽を補う」ことで陰陽のバランスを取ること が基本的な考え方となります。
簡単に言えば「温める・代謝を良くする」ということですが、カラダの陽を補う方法には以下のようなものがあります。
日光を浴びる
陽を補う方法で最も簡単な(と個人的に思っている)のが「日光を浴びる」ことです。
もちろん夏の時期は熱中症に注意しながら。
日の当たらない屋内にばかり居ると「陽」も不足しがちになります。
冷え性だけでなく自律神経的にも乱れやすくなるので、たまに日光浴などをするのも大切です。
腸内環境を良好に保つ
(だいぶ割愛して、語弊のある言い方にはなりますが・・・)「陽」を作っているのは「腸」です。
腸では食べたものを消化吸収して、それをカラダに栄養として巡らせています。
ストレスや食習慣などで 腸内環境を悪くするとカラダの陽が不足しやすくなる ので注意が必要です。
- ○ 海藻・豆類など食物繊維が豊富なもの
- ○ ヨーグルトなどの乳酸菌を含む食べ物
- ○ 味噌などの発酵食品
- × ファストフードやコンビニの食品
- × ジュース・菓子全般
- × アルコール・タバコ・ストレス
【腸内環境に関係する食べ物等の例】
腸内環境が気になる方はこちらもおすすめ
実は「陽」を補う食べ物と、腸内環境に良い食べ物は結構似ているんだ
軽めの運動をする
女性は男性に比べて冷え性が多い傾向にあります。その一因が、女性は男性と比べて 「筋肉量が少ない」 ということです。
筋肉量が少ないということは代謝も悪くなりやすい=「陽」が作られにくい。という風に考えられるので
筋トレで筋肉量を増やしたり、軽めの有酸素運動などをして筋肉の代謝を上げることも大切です。
「ツボ」で活性化する
上記のことをやっても効果があまりない場合、体質的に冷えがこびりついていたり、陽を生みにくい可能性もあります。
そういう方は上記のことにプラスして、 ツボの刺激などで「より効率良く」陽を作るようにしたほうが良いです。
いくつか陽を補うのに効果的なツボをご紹介します。
足三里(あしさんり)
● 場所:
膝の皿すぐ下に人差し指が来るように、指をそろえて手を当てたときの小指の辺り。 骨(脛骨)の外側(足の小指側)
● メモ:
「陽」に深く関係するツボでカラダ全体を温める効果があります。手足だけでなく全体的に寒がりな方により効果的
三陰交(さんいんこう)
● 場所:
足の内くるぶしの頂点に小指を当てておいた時の人差し指の辺り
● メモ:
冷え性なのに頭や顔が熱い。冷えのぼせ症状や、生理(月経)不順などにも効果的。
関元(かんげん)
● 場所:
へそから指4本分下の辺り
● メモ:
腸にも関係していて、冷えがお腹にくる方や、長い間冷え性と戦っている方、生活習慣の悪い方などにおすすめです。
婦人科疾患でも良く使うツボでここを冷やさないように注意するだけでも、冷え性の予防になります。
などのツボに、 ドラッグストアなどで売っているお灸を3回くらいやるのも、陽を補うのに効果的です。
ドラッグストアで売っている「せんねん灸」のような物よりもちょっと本格的で、効果も高いお灸をしたい。
という場合は以下の記事も参考にしてください。
※お灸をする際は火傷や火事にご注意ください。
なお効果は個人差があり当方では責任を負えませんので自己責任でやってください
また、冷え性には漢方も効果的なので、お近くで漢方を扱う病院や漢方の専門家がいるなら相談するのもアリです。
まとめ
夏でも寒さを感じてしまう冷え性の方は
エアコンの風の直撃を避けたり、カイロを持ち歩いてカラダを冷やさないようにする防寒対策はもちろん
ここで書いたような予防法と解消法を心がけてもらうことで、 体質そのものから冷え性を撃退できるようになっていきます。
- ● 日光を浴びるなどで気分にもカラダにも「陽気」を
- ● 腸内環境を良好に保つ食生活を心がける
- ● できれば筋トレも交えて、有酸素運動をする
- ● ツボや漢方をうまく使って体質から変えていく
などの内容をお伝えしました。自分にできる範囲からで良いので、冷え性改善に向けて試してみてくださいねー。
冷え性は自律神経の乱れによる血行障害で起こる(可能性がある)ってことだね